2008/03/10

「潜水服は蝶の夢を見る」

「ELLE」の編集長であったジャン=ドーは、43歳という若さで突然脳溢血で倒れ、そのまま寝たきりの生活を余儀なくされる。意識はハッキリしていて視覚あるのに、身体をまったく動かす事が出来ず、しゃべる事も出来ず、唯一動かすことができるのは左目だけ。
肉体という檻に閉じこめられた“ロックト・イン・シンドローム”という症状に陥り、潜水服を着たような状態になったジャン=ドーは、絶望の淵に落とされるが、彼は言語療法士があみだした目のまばたきによって、意思を伝える事を学び、蝶のように飛躍できるイマジネーションと記憶を頼りに自伝を書き始める…。

という、自伝を映画化した作品。
何度か予告を見て興味を持っていたので、昨日の仕事の帰りに「シネカノン有楽町2丁目」(有楽町駅前のビックカメラ内にある映画館)へ行ってきました。

以下、ちょっぴりネタバレあり。

「ELLE」の編集長という立場から、華やかで奔放な生活を送っていた彼が、自分では何も出来ず、数人に抱えられて湯船に入り体を洗われたり、見たいTV番組のチャンネルを変えることも出来ず、愛する子供たちを抱きしめる事も出来ない不自由でストレスの溜まる生活を送る事で、死を望む。

当然だろう。自分に置き換えて考えてみても想像を絶する。
しかし、死を望んでも死ぬ事すら出来ないのだ。

だが、言語療法士があみだした目のまばたきによって、意思を伝える方法を習得し、彼は潜水服をまといながら羽ばたく術を知る。フランス語の単語を使用頻度順に並べたアルファベットを読み上げ、ジャン=ドーが必要な単語のところで、まばたきし、1文字ずつ選んでいく。それを繰り返し、単語を作り、文章にしていく…という気が遠くなるような作業を積み重ね、自伝を作り上げる。

家族や友人たちの励ましにも胸が熱くなる。
自分がジャン=ドーの立場だったら、家族、友人の立場だったら…と考えずにはいられない。別人のような姿になった身内を、今までと同じように愛せるだろうか。献身的に介護出来るだろうか。笑顔で接する事が出来るだろうか。



印象に残っているのは、ジャン=ドーと父親が電話でやりとりするシーン。
年老いてアパートの階段を上り下りする事が出来ず、アパートから出れない父は見舞いに行く事も出来ない。息子と同じように閉じ込められているのだ。
ジャン=ドーはしゃべれないから、父親が一方的にしゃべっているだけなんだけど、涙ぐみながら語る父親に、まばたきで「泣かないで」と伝える。親子だからこそ、言葉を交わさずとも伝わることもあるのだろうなぁ。このシーンは泣けた…。


この映画はラストにあっと驚くような仕掛けがあるわけでもなく、どんでん返しがあるわけでもない。大感動で大号泣って感じでもない。ありのままを受け止め、静かに自分の中に取り込んでゆっくり消化したいと思う。


「潜水服は蝶の夢を見る」公式サイト
http://www.chou-no-yume.com/

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